2017年08月12日

ネットラジオ・バイロイト2017 神々の黄昏

音源のみの感想。

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Götterdämmerung

Musikalische Leitung : Marek Janowski
Regie : Frank Castorf
Bühne : Aleksandar Denić
Kostüm : Adriana Braga Peretzki
Licht : Rainer Casper
Video : Andreas Deinert Jens Crull
Chorleitung : Eberhard Friedrich
Technische Einrichtung 2013-2014 : Karl-Heinz Matitschka

Siegfried : Stefan Vinke
Gunther : Markus Eiche
Alberich : Albert Dohmen
Hagen : Stephen Milling
Brünnhilde : Catherine Foster
Gutrune : Allison Oakes
Waltraute : Marina Prudenskaya

1. Norn : Wiebke Lehmkuhl
2. Norn : Stephanie Houtzeel
3. Norn : Christiane Kohl

Woglinde : Alexandra Steiner
Wellgunde : Stephanie Houtzeel
Floßhilde : Wiebke Lehmkuhl

2017.8.3.

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@ 音楽

再聴する度にしみじみ思う。この大編成で重厚な黄昏を、
過不足なくまとめることがいかに優れているか。
アンサンブルが整っていることを前提にしても、
重厚さに傾けば集中とスタミナ枯渇、
シンフォニックすぎて動機に意味がのらなすぎても、
語りの場面の重要性が薄れるし、
歌に合わせてただインテンポなだけではドラマ不足。
緩急やダイナミクスを動かすにも、
大編成を瞬間的にバランスよく鳴らすのはなかなか困難な一方、
響きの充実を伴わないスロウダウンだと間延び。

とにかく疲れる理由の方が先に思いつく中で、
そうした要素に当てはまらない演奏に出会えたら。
そしてもしその演奏が、自分の好みのポイントを1つか2つでもおさえてくれていたら。
しかも録音ではなく、生中継で。
そのような機会はもはや僥倖と呼べる(…ということを、
歴戦の猛者の方々ならきっとお分かりいただけると思う)。
この2年は感謝しかない。

昨年同様、音楽的にはほぼ全てが聴き所なのだけれども、
終盤は主役の乱れが無視しづらくなってくるので、前半の方が集中しやすいかも。
2-3のハーゲンから5場までの劇的展開は今年も凄惨な迫力で決まっている。
葬送は前半のヴェルズンクの苦悩の闇と後半の英雄を称える光が、
Tpの剣の動機を境に鮮やかに対を成す。ヤノフスキの形。

A 歌手

まずはハーゲンのMilling。声がやや重く太くなって、
ハーゲンのような張り上げる悪役にも釣り合うようになってきた。
動機の鋭い後押しもあるが、元々表現力は確かだから、
彼の場面は芝居を含めまとまっている。

ジークフリートのVinke…毎回こんな酷い歌でも最後まで持つから不思議だ。
素晴らしい伴奏付きのジャイアンリサイタル。

ブリュンヒルデのFoster…登場する3日の内、出来はこの日が一番悪かった。
伴奏に影響が出ない程度に持ってくれればよかったのだが。

他はこれまでの印象とほぼ変化なし。
アルベリヒのDohmenは好調継続。この日の2-1も緊張感がみなぎる。
グンターのEicheは芝居メイン、グートルーネのOakesは3幕はまずまず。
ヴァルトラウテのPrudenskayaは安定しない。1-3は伴奏の語りが胸にしみる。
ラインの乙女は今年はきちんと出られていたが、まとまりはもう一つ。
内2人が兼任しているノルンではマイジンも良かったLehmkuhlが好印象。


ラベル:バイロイト2017
posted by rikka at 00:26| ネットラジオ・バイロイト 2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ネットラジオ・バイロイト2017 ジークフリート

音源のみの感想。

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Siegfried

Musikalische Leitung : Marek Janowski
Regie : Frank Castorf
Bühne : Aleksandar Denić
Kostüm : Adriana Braga Peretzki
Licht : Rainer Casper
Video : Andreas Deinert Jens Crull
Technische Einrichtung 2013-2014 : Karl-Heinz Matitschka

Siegfried : Stefan Vinke
Mime : Andreas Conrad
Der Wanderer : Thomas J. Mayer
Alberich : Albert Dohmen
Fafner : Karl-Heinz Lehner
Erda : Nadine Weissmann
Brünnhilde : Catherine Foster
Waldvogel : Ana Durlovski

2017.8.1

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@ 音楽

鋭く、かつスタイリッシュ。
ヤノフスキのワーグナーに好感を抱く理由のひとつは、王道の物語だということ。
(演出はともかく、音楽まで最初からラノベ以下のヘタレ主人公を想定する人はいないだろうけど)
その端正な音楽は、理想の神話世界を想起させる。
英雄は常に凛々しく、儚く美しい女性は受難で更に清められ、
善悪、愛憎、あらゆる激突が、突き詰めれば純粋な響きで勇壮に描かれてゆく。
一見絵画のような抽象的な美だが、そこに内実を与えているのが、
王道を貫く真摯さ。
恋愛関連のフレーズの切なさはもちろんのこと、
例えばミーメ絡みの場面などはもう少しコミカルに作る事も可能だけれど、
ヤノフスキの音楽はひたすら誠実で真摯。
殺意や悲哀はそれそのもので、
シニカルな笑いを被せて婉曲な表現にするようなことはない。
そのただ直向きな情熱に心を動かされるのだ。

音楽が複雑になっている分、
ここぞという決め所の職人芸は前の2晩以上に聞き取れると思う。
歌唱があまり崩れていない方が集中できるので、
聞き所の優先順としては1-2の問答から3場の炎の幻影にかけての劇的展開や、
2-1の呪いの火花散る邂逅、3-1のクライマックス、
3-2の炎越えから岩山の頂上に至る間奏あたりが先だろうか。
鍛冶の歌のハイテンションな伴奏や、
目覚めの後の愛の挨拶でヴェルズンクのフレーズが昇華する様なども美技が味わえる。

A 歌手

ジークフリートのVinke…ほんと、こんなに無意味なハイCフィニッシュも滅多に聞けない。

ミーメのConrad…黄金に続いての大熱演。いくつか厳しめのところはあるが、
芝居で十分カバーできているし、
ここまで回せるキャラクター役の歌手となるとかなり限定されるはず。
好調が維持されることを祈る。

さすらい人のT.J. Mayer…徐々に上げていく、いつもの慎重なペース配分。
まだ高音は明るめなので前夜のLundgrenからするとかなり若返っているが、
彼も気迫のこもった熱演。気になったのが3-1。もしかしたらむせてたかも。
歌に影響がなくてよかった。

他に好調を維持していたのはアルベリヒのDohmen。
今年は一際凄惨に決めている。ファーフナーのLehnerは大蛇の特殊効果が欲しいところ。

女声陣はブリュンヒルデのFosterを筆頭にエルダのWeissmann、小鳥のDurlovski、
3人まとめて不安定さに特に進展なし。


ラベル:バイロイト2017
posted by rikka at 00:20| ネットラジオ・バイロイト 2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月09日

ネットラジオ・バイロイト2017 ワルキューレ

音源のみの感想。

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Die Walküre

Musikalische Leitung : Marek Janowski
Regie : Frank Castorf
Bühne : Aleksandar Denić
Kostüm : Adriana Braga Peretzki
Licht : Rainer Casper
Video : Andreas Deinert Jens Crull
Technische Einrichtung 2013-2014 : Karl-Heinz Matitschka

Siegmund : Christopher Ventris
Hunding : Georg Zeppenfeld
Wotan : John Lundgren
Sieglinde : Camilla Nylund
Brünnhilde : Catherine Foster
Fricka : Tanja Ariane Baumgartner
Gerhilde : Caroline Wenborne
Ortlinde : Dara Hobbs
Waltraute : Stephanie Houtzeel
Schwertleite : Nadine Weissmann
Helmwige : Christiane Kohl
Siegrune : Mareike Morr
Grimgerde : Simone Schröder
Rossweisse : Alexandra Petersamer

2017.7.30

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@ 音楽

今年も精悍な立ち上がり。
緩急こそ多少は歌手に左右されるが、
黄金に引き続き、表現に遊びの要素を付加する余裕が生まれ、落ち着いた劇運びになった。
やはり特筆すべきはこの純粋な悲観漂う響き。
今年は最初からほぼ彼の音が引き出せているので、感慨もひとしおだ。
つぶやきでも触れたが、ジークリンデの動機が上昇しつつふわりと広がる美しさや、
「あなたこそ春」の幻想的な雰囲気はちょっと他では聞けない。
次の晩のジークフリートほど闇は濃くないが、上昇系に常に光への希求が感じられる。
その切なさに感情移入せずにいられない。

他、この日に印象的だったのは歌手へのフォローの早さ。
オケの反応も非常に自然で手際がよかった。
去年から歌っている歌手に関してはある程度予測可能だろうから、
見極めがきちんと当たっているのかもしれない。

2・3幕の山場に関しては(一部を除いて)歌唱が大きく崩れる心配がなかったか、
スマートなacce&crescで一気に駆け抜けて頂点だけ溜めたり、
逆に前後も頂点も緩急を動かして劇的効果を高めるなど、
比較的自由な作り方ができているのが素晴らしい。

語りの合いの手はとにかく心に突き刺さるような鋭く的確な表現ばかりなので、
物語の流れに説得力が増す。
カタルシスの衝撃はいや増し、自然とその後の音楽は胸に迫るものになる。

A 歌手

ヴォータンのLundgren…彼の奮戦のおかげで、
昨年伴奏とずれていた2-2のモノローグが形になり、かなり聞き応えある音楽になっている。
3幕もいくつか以外は冷静な歌い回し。
少し前までは告別前に燃え尽きるかどうかを心配しなければならなかった役に、
完走以上のことを考えられる歌手が戻ってきてホッとしている。

ジークムントのVentris…最終的には普段の悪さとあまり変わりばえしない出来。
ぶれ歌唱が酷い。もう少しいい時もあったが、なかなか難しいところ。
最近、ボータの逝去がヘルデンのやりくりに与えている影響を実感することが多い。

その分ジークリンデのNylundがこの役の混乱にやっと終止符を打ってくれた。
今の演出では初めてでもあるし、整えにくそうな箇所もあったが、
美声と自然な表現に感情移入できる。
2-3のアリアや3-1、妊娠を告げられた時の救いを求める繰り返し
(ここのヤノフスキの響きの光がまたいい)、
そしてO hehrstes Wunderは外せない。

ブリュンヒルデのFoster…フラット癖にももう慣れた。
肝心なところで音楽に水を差すのは避けられないが、
役柄は深まっている気がしないでもない。

フリッカのBaumgartner…会話の部分はよかったのだが、
まとまったアリアのアップダウンにちょっと躓いたのが残念。
結局ここをまとめた人がいないままだったので、
何か歌いにくい動作があるとしたら気の毒だ。

フンディングのZeppenfeld…昨年は交代してくれて助かったが、
メインはグルネマンツだと思うので、とにかく大事に歌ってほしい。

ワルキューレは今年も他の端役の時の印象と変わらず。
好調不調まとめて、騎行やその後の嘆願の場面の音楽に反映している。
ラベル:バイロイト2017
posted by rikka at 14:56| ネットラジオ・バイロイト 2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ネットラジオ・バイロイト2017 ラインの黄金

音源のみの感想。

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Das Rheingold

Musikalische Leitung : Marek Janowski
Regie : Frank Castorf
Bühne : Aleksandar Denić
Kostüm : Adriana Braga Peretzki
Licht : Rainer Casper
Video : Andreas Deinert Jens Crull
Technische Einrichtung 2013-2014 : Karl-Heinz Matitschka

Wotan : Iain Paterson
Donner : Markus Eiche
Froh : Daniel Behle
Loge : Roberto Saccà
Fricka : Tanja Ariane Baumgartner
Freia : Caroline Wenborne
Erda : Nadine Weissmann
Alberich : Albert Dohmen
Mime : Andreas Conrad
Fasolt : Günther Groissböck
Fafner : Karl-Heinz Lehner

Woglinde : Alexandra Steiner
Wellgunde : Stephanie Houtzeel
Floßhilde : Wiebke Lehmkuhl

2017.7.29

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@ 音楽

2年目ということで、緩急やダイナミクスが歌に浸透し、
昨年より落ち着いた劇運びになっている。
ダイナミクスの方は歌唱とバランスを取る形だが、
緩急は自由度が増したので、歌詞の内容と音楽の結びつきを非常に鮮明に感じる。

また、鋭く引き締まった動機表現の中にも、
例えばラインの上昇の波の高音の重ね方や、ミュート音の使い分け、
跳ねるヴァルハラ、沸き立つフライアなど、
所々で個のフレーズに遊びの余裕というのだろうか、
スタイリッシュな装飾の要素が聞けるようになった。
場の変化を一瞬で決める熟練の技に、気が付くと感嘆のため息ばかり。

個人的には、黄金で提示された次の3晩に繋がる動機に、
今後の展開の兆しが見られることが嬉しい。
大きな理解の助けになるし、円環のイメージの強化に繋がる。
呪いや指環の権力行使はもちろん、
ローゲがほんの皮肉で嘆いてみせた下降メロディが起こす波紋や、
エルダの淡い幻想など、黄昏に通じるものは特に印象深い。

という訳で、聞き所は全編に散りばめられているが、
あえて言うなら、対話に炎の繊細な変化が加わった方が持ち前の煽りに勢いが出るので、
ローゲの登場後となるか。

A 歌手

ほぼ全体が改善傾向にある。

ヴォータンのPaterson…立ち上がりは今年も手探りだったが、
節回しは安定したと思う。後半にかけて徐々に上げていく様子。
4場のアルベリヒとの対峙は音楽含めて良い緊張感を維持。

アルベリヒのDohmen…昨年以上に好調。
多分歌唱としてはもう少し端正な方が理想なのだろうが、
節回しの癖も含めて、アルベリヒの捻じれた性質に定着している感あり。

ローゲのSaccà…今年も伴奏と合わせるのに苦労しているが、
修正できる余裕はある。
徐々に回しつつ、3場には安定してくるので仕事は十分こなしていると思う。

他の男声陣にもブレーキという程の問題はなし。かなり好スタートなのがミーメのConrad。
また、フローが初日のマイジンでダーフィトを歌ったBehleに代わり、
落ち着いたリリック声に。最後に虹の橋が崩れそうなことはなくなった。
巨人はLehnerが復帰、Groissböck、ドナーのEiche、各々ほぼ去年の調子を維持。

女声陣は、今年変わったフリッカのBaumgartnerが、
なかなか安定しなかったこの役にある程度の落ち着きをもたらした。
フライアのWenborneも声に伸びがあり、うまく収まっている。
Weissmannの調子は相変わらずだが、ラインの乙女は良い滑り出し。
ラベル:バイロイト2017
posted by rikka at 14:32| ネットラジオ・バイロイト 2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月08日

ネットラジオ・バイロイト2017 パルシファル


音源のみの感想。

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Parsifal

Musikalische Leitung : Hartmut Haenchen
Regie : Uwe Eric Laufenberg
Bühne : Gisbert Jäkel
Kostüm : Jessica Karge
Licht : Reinhard Traub
Video : Gërard Naziri
Dramaturgie : Richard Lorber
Chorleitung : Eberhard Friedrich

Amfortas : Ryan McKinny
Titurel : Günther Groissböck
Gurnemanz : Georg Zeppenfeld
Parsifal : Andreas Schager
Klingsor : Derek Welton
Kundry : Elena Pankratova

1. Gralsritter : Tansel Akzeybek
2. Gralsritter : Timo Riihonen
1. Knappe : Alexandra Steiner
2. Knappe : Mareike Morr
3. Knappe : Paul Kaufmann
4. Knappe : Stefan Heibach

Klingsors Zaubermädchen : Netta Or
Klingsors Zaubermädchen : Katharina Persicke
Klingsors Zaubermädchen : Mareike Morr
Klingsors Zaubermädchen : Alexandra Steiner
Klingsors Zaubermädchen : Bele Kumberger
Klingsors Zaubermädchen : Sophie Rennert
Altsolo : Wiebke Lehmkuhl

2017.7.27.

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@ 音楽

ヘンヒェンの伴奏の音楽の印象を一言でいうと「傍観」だろうか。
舞台上の物語に対して距離がある、ノンフィクション映像のナレーターのような感覚だ。
もちろんそれはそれで構わない。

急な登場だった昨年とは違って、彼の音作りはより明確に伝わってくる。
表現の彫塑が深まったため、
特徴的なくすんだ弦の音色の中にも柔和な変化が感じ取れるし、
語りの客観性からくる単調さはほとんどなくなった。

そうなると難しいのは客観性だけでは物足りなくなる部分、
つまり場面転換や覚醒、聖金曜日など、劇的に決めに行く場面なのか。
それならその核になっているMitleidフレーズの空振りも頷ける。
やたらに力の入った急激なリタルダンドや溜めすぎのアウフタクトで、
音楽との距離があいまいになった途端に何故か躓く…
先日別なオケで聴いたタンホイザーもほぼ同じ傾向だったので、
仕様ならば考えても仕方ない。

客観的に見て情景の美しい場面、例えば天使の動機や白鳥、
洗礼などは率直に美しく描かれるので、
聞き所としてはそうした歌唱の伴奏部になると思う。

A 歌手

グルネマンツのZeppenfeld…昨年の完走から更に進化。
声量や歌い回しが豊かになり、かなり表現の内実が図れるようになった。
現状このレベルでグルネマンツを歌いこなせる人はほとんどいないので、
本当に貴重。大事に歌ってほしい。

そして以前も触れたが、このグルネマンツの一番の聞かせ所を水音で邪魔する、
聖金曜日のクライマックスの水浴び演出は再聴しても許容しがたい。
ヘンヒェンの締めも肩透かし気味なので、せっかくの大健闘が報われなくなってしまう。
聴いていてこちらが空しくなる。

同じく素晴らしかったのがクリングゾールのWelton。
今年初め頃に急逝したグロホウスキの後を引き継いだのだが、
声質も合うし、前任者に勝るとも劣らない優れた歌唱。
歌のフレージングまで芝居でうやむやにするキャラクター役が多い中で、
まとまったアリア部分をきちんと歌にできる歌手が聞けるのは嬉しい。
既にクリングゾールにはもったいないくらいの勢いがあるので、潰れないことを願うのみ。

クンドリーのPankratovaも終盤僅かに厳しくなる外は、
昨年以上の健闘で大勢には影響なし。
役どころもかなり明確に伝わり、1幕の怯えた控え目な態度と2幕の救いの希求、
両方とも哀れさの点で一貫しているので、自然に感情移入できる。

パルシファルのSchagerの大声と不器用さは他のキャストに比べると悪目立ち傾向。
声質が悪いわけではないけれど、力み過ぎてフレージングの維持が厳しく、
3幕はノーコン気味。声の残念イケメン、残念ヘルデンとでもいうべきか。

他、アンフォルタスのMcKinnyは少しキャラ声がはっきりしたように聞こえる。
音源を聞く分にはWeltonより余程クリングゾールらしいが、
この2人が重なるのは物語上ありなので問題ない。3幕の憐れみを乞う場面は熱演。
ティトゥレルはこの日もLehnerがキャスティングされていたため、Groissböckに交代。
クセのある存在感で、親子役共にキャラ立ちしている。

端役や合唱については特筆すべき変化はない。
第3の小姓はP. Kaufmannに変わって前進したかも。
ラベル:バイロイト2017
posted by rikka at 00:13| ネットラジオ・バイロイト 2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月07日

ネットラジオ・バイロイト2017 トリスタンとイゾルデ


音源のみの感想。

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Tristan und Isolde

Musikalische Leitung : Christian Thielemann
Regie : Katharina Wagner
Bühne : Frank Philipp Schlößmann
Matthias Lippert
Kostüm : Thomas Kaiser
Dramaturgie : Daniel Weber
Licht : Reinhard Traub
Chorleitung : Eberhard Friedrich

Tristan : Stephen Gould
Marke : René Pape
Isolde : Petra Lang
Kurwenal : Iain Paterson
Melot : Raimund Nolte
Brangäne : Christa Mayer
Ein Hirt : Tansel Akzeybek
Ein Steuermann : Kay Stiefermann
Junger Seemann : Tansel Akzeybek

2017.7.26

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@ 音楽

オケ的にはどこも悪くない。
時々抜けてくる個性的な奏者の音を含めて、ティーレマンの響きに練り上げられていく。
前日との差が表れる部分だが、
それでも2幕半ばまで音楽に入り込めなかったのは、
思いの外イゾルデの違和感が無視出来なかったからか。

今年は1幕のブルックナー節は控えめ。
演奏の度に強調する細部の形が変化するということもあるだろうし、
中途半端に主役が維持していたため、
伴奏の緩急にあまり斟酌を加えずに済んだのも一因かもしれない。
結果、トリスタンでもブルックナーでもない、何か別物、
それこそ„namenlos“な音楽に聞こえる時がある。

個人的には去年のようにもう少し突っ込み所が欲しいような気がするのだけれど、
時々裏目に出る恣意的な間や謎の溜めも、
3幕のトリスタンの狂乱から3場のクルヴェナールの死までの、
凄まじい破壊力で全て帳消しにできる。死の動機の超弩級炸裂。

A 歌手

トリスタンのGould…このバイロイトでの彼とティーレマンのコンビによる3幕に限っては、
ちょっと他では聞けない類の域に達した感あり。
音楽性の野太さ(そんなものがあればの話だ。要は丸太のようなストレートさ)に関して、
互いに共鳴するところ大なのかもしれない。

今年は狂乱の頂点でのティーレマンの極端な溜めについても、
予測の上でしっかり組み立てられたので(そしてティーレマンも更なる謎行動には出なかった)、
これまで以上に劇的な展開になっている。
もう棒歌唱キングは返上かな。尊敬に値する仕事ぶり。

マルケ王のPape…20年ぶりバイロイト復帰とか。既に他で聞き慣れている役でもあるし、
優れた歌唱が増えるのは嬉しい限り。
ただ、この舞台、彼を使う程の演出かと問われると微妙な気がする
(ツェッペンフェルトならいいって訳ではない)。
まあ、少し前のMETの三蔵法師みたいな格好もどうかと思うが。

クルヴェナールのPatersonや他の男声端役も昨年と変わらない調子を維持している。
牧童&若水夫のAkzeybekは僅かに上向きな印象。

女声は上記したがかなり厳しい。
イゾルデのP.Langは昨年ほど詰まったりはしていないが、
声やフレージングの違和感はどうしようもない。
ブランゲーネのC.マイヤーも音域のアップダウンに関しては落ち着いてきているのだけれど、元の声質がひしゃげ気味なので、ロングトーンが美しくない。
(高齢の方に)年齢不詳の魔女と老乳母といった主従の体。
配役の都合は頭の痛い問題だろうが、諦めるしかない。

ラベル:バイロイト2017
posted by rikka at 23:44| ネットラジオ・バイロイト 2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ネットラジオ・バイロイト2017 ニュルンベルクのマイスタージンガー

今年の初演出。生放送時のライブストリーミングの他、
(一定期間?の)オンデマなどもあり。
BSプレミアムで8/20(日)深夜(8/21(月)午前0:00, プレミアムシアター)映像が放送予定。

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Die Meistersinger von Nürnberg

Musikalische Leitung : Philippe Jordan
Regie : Barrie Kosky
Bühne : Rebecca Ringst
Kostüm : Klaus Bruns
Chorleitung : Eberhard Friedrich
Dramaturgie : Ulrich Lenz
Licht : Franck Evin

Hans Sachs, Schuster : Michael Volle
Veit Pogner, Goldschmied : Günther Groissböck
Kunz Vogelgesang, Kürschner : Tansel Akzeybek
Konrad Nachtigal, Spengler : Armin Kolarczyk
Sixtus Beckmesser, Stadtschreiber : Johannes Martin Kränzle
Fritz Kothner, Bäcker : Daniel Schmutzhard
Balthasar Zorn, Zinngießer : Paul Kaufmann
Ulrich Eisslinger, Würzkrämer : Christopher Kaplan
Augustin Moser, Schneider : Stefan Heibach
Hermann Ortel, Seifensieder : Raimund Nolte
Hans Schwarz, Strumpfwirker : Andreas Hörl
Hans Foltz, Kupferschmied : Timo Riihonen
Walther von Stolzing : Klaus Florian Vogt
David, Sachsens Lehrbube : Daniel Behle
Eva, Pogners Tochter : Anne Schwanewilms
Magdalene, Evas Amme : Wiebke Lehmkuhl
Ein Nachtwächter : Georg Zeppenfeld

2017.7.25

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@ 音楽

元から鳴らしすぎのところがあるので演奏は雑だが、
複雑な響きの変化を要求されるパルシファルやトリスタンのような曲よりは、
喜劇の方が彼の持ち前の音の明るさや爽やかさがそのまま生かせるので、
まだしも合うのではないだろうか。

マイジンは簡潔なキャラ表現の組み合わせで対話が進んでいくので
(芝居に負う所が大きいし、歌は歌でマイスターはマイスター、
主要人物専用動機もほぼ明瞭、古典劇風のシンプルさ)、
あまり凝った音楽が作れなくても、
適度な緩急やダイナミクスで劇的緊張感が維持できればかなり聞きやすくなる。

1幕は前奏曲で初演出らしい勇み足があったりで、
終盤のアンサンブル以外はやや起伏に欠けた展開だったが、
2-4のエーファとザックスの場面辺りからは、
心ある響きや軽妙な対話で、終幕までの流れをうまく作り上げている。
人物の心象や場の変化についても、
鍵となる主要動機を押さえて大まかなコントラストをつけている。
2-6など、ザックスとベックメッサーのコントに吊られて伴奏も跳ねるようだ。
真面目にやるコメディ演奏で笑いに加勢、という雰囲気でとても楽しそう。

今後、アリア部分のタイミングや音色のまとまり、
ダイナミクスのやりすぎなど演奏の細部がいくつか改善されれば、
更なる伸びしろを見込めるはず。
ただ、こんな大曲で雑な鳴らしすぎが1〜2年の内に改善されるようなら、
他の曲はもっとアンサンブルがまとまっているはずなので、時間はかかるかも。

A 歌手

上記したが何と言ってもザックスのVolleとベックメッサーのKränzleの芝居。
アルベリヒ声のベックメッサー、面白すぎる。
2-6の大袈裟と卑屈のコントには本当に笑わせてもらった。
どちらも歌としてはフレージングの維持が厳しいが、それを補って余りある演技。
幸い、作曲家は必ずしも歌が上手い必要はないという、設定の後押しもあり。
やはりマイジンは楽しい方がいい。

ヴァルターのVogt…彼のメインレパートリーなので、一定水準以上にはある。
最近はボカロ歌唱もだいぶ減って、内実を図れるようになってきた。
この日は最初飛ばし気味かな。

他の男声では、Behleはダーフィトには少し落ち着いた声だが、前向きなトライ。
ポーグナーのGroissböckやコートナーのSchmutzhardは、
存在感の有無でそれぞれキャラ立ち。
夜警は体調不良のLehnerに代わってZeppenfeld。
妙にスマートで朗々とした夜警が2幕を締めくくる。

女声は前演出の時に比べれば、
冒頭から聴く士気が激減するようなことはなく、大変助かる。
特にレーネのLehmkuhlは好調な滑り出し。
エーファのSchwanewilmsはキャラ設定込みの配役か。
五重唱など美や愛に関連したフレーズになると、
伴奏がかなり溜めを作って歌うので緩急が読みづらい。
その辺りが修正されれば馴染んでくると思う。

B 演出
ザックスの右派傾向とも取れる台詞の内容を生かし、ワーグナー本人が、
被告または自作の弁護人として軍事法廷に立ったらという仮設定で、
その処断を観客に任せる好演出。
音源の印象通り、歌や音楽というよりは演劇の舞台。

第二次大戦ネタには食傷気味だが、ワーグナーが内輪で行う試演の形で中世と19世紀、
更には仮想の外枠として、
音楽が軍事利用された20世紀という時代の重なりを解決しているのが秀逸だった。
これなら脚本と演出に大きな齟齬を生むことなく、
華やかなコスプレをそのまま使えるので見栄えがする。

配役もほぼ設定に見合ったもの。
レーヴィ=ベックメッサー=クレンツレ、メイク似合う。エアギターが大好き。
ユダヤ系というだけで何故こんな役回り?というやけっぱちな戸惑いが、
役と場に深みを持たせる。
ワーグナー=ザックスのフォレの出ずっぱりな熱演も見事。
やっぱり靴を打ってこそのザックスだ。
ユダヤのマスクとラストの独白弁論は、前演出の微妙な3幕と比較することもできる。
この2人をしっかり中心軸に据えているので、劇自体が落ち着いた。
ヴァルターはワーグナーと同じ扮装だったので、
若い彼か、そのメロディの一部と捉えていいのだろうか。
彼の歌に何故か骨抜きになるフォルツがまた可笑しい。
他、2幕や歌合戦はもちろんのこと、もふもふの黒犬や、
コートナーの歌の装飾に合わせたマイスターたちのヘッドバンキングなど、
1幕からかなり楽しく見られる。


ラベル:バイロイト2017
posted by rikka at 02:23| ネットラジオ・バイロイト 2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月04日

ネットラジオ・バイロイト2016 トリスタンとイゾルデ

音源のみの感想。

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Tristan und Isolde

Musikalische Leitung:Christian Thielemann
Regie:Katharina Wagner
Bühne:Frank Philipp Schlößmann
Matthias Lippert

Kostüm:Thomas Kaiser
Dramaturgie:Daniel Weber
Licht:Reinhard Traub
Chorleitung:Eberhard Friedrich

Tristan:Stephen Gould
Marke:Georg Zeppenfeld
Isolde:Petra Lang
Kurwenal:Iain Paterson
Melot:Raimund Nolte
Brangäne:Claudia Mahnke
Ein Hirt:Tansel Akzeybek
Ein Steuermann:Kay Stiefermann
Junger Seemann:Tansel Akzeybek

2016.8.1

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@ 音楽

1幕は5割方ブルックナー。再聴したが第一印象はあまり変わらなかった。
いやむしろブルックナーはこういう部分を参考にしてるのか、と勉強になるほど。
そもそも、同じ音型の繰り返しがいけない。
イゾルデの怒りが沸騰する部分のベースラインや
タントリスの歌の弦の分散和音風の伴奏、
1-5の名誉や嘲笑の反復。下降や裏拍がからむとなお可笑しい。
やっと媚薬とその後の怒涛の二重唱でロマンが来たかと思いきや、
Heil!の合唱と別働隊ファンファーレのフィニッシュですぐまたブルックナー節の返り咲き。
ブルックナーのワグネリアンとしての熱意を改めて感じた次第。

でもつぶやきでも触れたが、こういう妙な方向の自由さが表れている方が、
素のティーレマンぽくて面白いかもしれない。

2幕に入って夜の歌の先触れに差し掛かったあたりで、
緩急や流れのぎこちなさが吹っ切れた感あり。
去年は同じ頃合いから独自のコスモ路線を突き進んでいたのが、
今年は歌に呼応するかのような感情の高揚を作り上げている。
夜の歌や死の歌は和声に包み込まれ、Habet acht!の小宇宙の響きが美しい。
情熱の赴くままに表現しても逸脱しないような、
音楽との共鳴に至る、そんな雰囲気だ。トリスタンの響きにはそういう陶酔がある。

そして3幕はほぼ忘我の境地。
グールドの熱演との駆け引きで音楽は否応なしにハイテンションになる。
オケのアンサンブルも見事で、愛の死の頂点は、
いつものティーレマンのコスモとはまた違った突き抜けた響きだった。
どうしても外せない愛の呪いと2・3幕最後の極端な引き伸ばしだけは微妙だが、
3幕は確か事が全て済んだ後の回想演出だったはずなので、
この内容だと違和感は必至だろう。

A 歌手

トリスタンのGould…天晴れ、キングオブ棒歌唱。
彼のトリスタンを聴いた中では最高の出来じゃないだろうか。
登場から声の伸びがあり、2幕以降は伴奏を牽引する熱唱。狂乱ではまさかの泣き演技。
これはリサイタル状態の立ち位置も関係していると思うが。
おかげでティーレマンのテンションの針も振りきれんばかりだ。
その漢気、確かに受け取った。我が道突き進んで欲しい。

イゾルデのLang…一応声は来ているが、
キャラ違いでフレージングには非常に違和感がある。
この発声が不自然に作られたものではないことを祈る。

マルケのZeppenfeld…グルネマンツを歌い切った程なので、間違いなく昨年より上向き。
演出を見る限り悪人設定だったが、声のみでは全くそうは感じられない。
今の時代、設定との落としどころを見つけるのも大変だと思う。

クルヴェナールのPaterson…彼もヴォータンを歌うくらいだから、
調子は悪くなさそうだ。3幕は静かな動きの回想とはやや離れた、人間味のある歌。
グールドの体当たり歌唱に呼応して熱を帯びる。

ブランゲーネのMahnke…マリーとブランゲーネ二役だったC.Mayerの代役。
結局今年もぶれ歌唱を聞く羽目に。立ち上がりは酷過ぎて気の毒だったが、
2-2のHabet acht!になると遠目で響きに包まれるのであまり目立たない。
ぶれなければ綺麗な声なのに、残念。

他、メロートのNolteは細め、舵取りのStiefermannは一瞬で印象が薄く、
Akzeybekはこの日も無難に張り上げている。
このままだとキャラクター役の方向へ進むのかな。

posted by rikka at 01:40| ネットラジオ・バイロイト 2016 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月02日

ネットラジオ・バイロイト2016 神々の黄昏

音源のみの感想。

・・・・・・

Götterdämmerung

Musikalische Leitung:Marek Janowski
Regie:Frank Castorf
Bühne:Aleksandar Denič
Kostüm:Adriana Braga Peretzki
Licht:Rainer Casper
Video:Andreas Deinert
Jens Crull

Chorleitung:Eberhard Friedrich

Siegfried:Stefan Vinke
Gunther:Markus Eiche
Alberich:Albert Dohmen
Hagen:Albert Pesendorfer
Brünnhilde:Catherine Foster
Gutrune:Allison Oakes
Waltraute:Marina Prudenskaya

1. Norn:Wiebke Lehmkuhl
2. Norn:Stephanie Houtzeel
3. Norn:Christiane Kohl

Woglinde:Alexandra Steiner
Wellgunde:Stephanie Houtzeel
Floßhilde:Wiebke Lehmkuhl

2016.7.31

・・・・・・・・

@ 音楽

生放送でこんな名演を聴ける日が来るなんて。本当に言葉にならない。
この数時間だけは何も要らない、この音楽さえあればいい、
心底聴き続けて良かったと思えるひとときだった。

丹念に序章を作り上げる黄金に始まって、爆発的なワルキューレ、
闇と光のジークフリートと繋いで音楽の流れと響きは完全にヤノフスキのものに。
黄昏はピットが融和して、まさに自由の境地。
極限集中のトランス状態が想像できるような、そういう劇的緊張感に満ちていた。

この日も聴き所は全て。
高らかな英雄と万感こもったジークフリートの愛が胸を打つ夜明け〜ライン騎行、
テンポと重厚さのバランスが絶妙な血の盟約、
音色の使い分け、切れ味鋭い合いの手、
崩れない3拍子と完璧に決まっているハーゲンと合唱の2幕3場。
その後沸騰する凄まじい復讐。
そしてこれが聴けるのを待っていた、葬送の剣のTpから二連打への突入。
怒涛の終曲に、消えるジークフリートと世界救済の美しさ。
挙げればきりがないが、あらすじ説明の動機表現などももちろん鮮明なので、
これまでの物語を示唆する場面は非常に感慨深い。

オーケストラは完全燃焼。言うまでもなく素晴らしい。
全体が本格的にまとまったのは中休みを挟んで後半に入ってからだろうか。
今年はHnのSiegfriedrufはクレジットあり(BRSOのCarsten Carey Duffinさん)。
黄昏でも同様の出番かはわからないが、
ソロ以外でも角笛系フレーズは概ねよく当たっていた。


A 歌手

ここにもし往年の名歌手レベルの歌唱が加わっていたら…という考えも一瞬浮かんだりしたけれど、
それで逆に難しくなることもあり得る。
ひとまず当たり障りのない程度に音楽が進行できて幸運だった。

ジークフリートのVinke…酷い。酷いが音程はそこそこクリアしているから無視できる。
田舎侍枠に1人追加。

ブリュンヒルデのFoster…フラットに加えて下りの音程が崩れがちだが、
同じく慣れで無視できる。

ハーゲンのPesendorfer…暗めの声質は合う。
ミリングの代役で、準備の時間がどの程度あったかわからないし、
落ち着かせるのに少し時間がかかるのは仕方ないところ。
2-3で張り上げても崩れなかったし、
2-1の陰鬱な様子や捨て台詞の叫びも効果あり。
フレージングに芯が少し足りないかもしれない。

グンターのEiche…Heil!と称賛されるような歌唱とは言い難く、
演技力と声量でカバー。黄金のドナーに同じく、存在が空気ということはなくなった。
バックのギービヒの動機が高らかなので、自然とそちらに注意が行く。

アルベリヒのDohmenは立ち位置が近いのか、声を大きめに拾っている。
最後まで去年より好印象。
ヴァルトラウテのPrudenskayaはかなりこもった感じのメゾで、
節回しも不慣れな様子だったが、ぶれ歌唱よりはまだしも。

グートルーネのOakesは継続して歌っている慣れを感じる。
ノルンとラインの乙女の内2人は兼任。ラインの乙女は出落ちがあり、
昨年までの方が安定していたのは黄金と同じ。
第2のノルン&ヴェルグンデのHoutzeelが今一つか。音楽の雄弁さで後には残らない。

ラベル:バイロイト2016
posted by rikka at 23:33| ネットラジオ・バイロイト 2016 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月01日

ネットラジオ・バイロイト2016 さまよえるオランダ人

音源のみの感想。

・・・・・・

Der fliegende Holländer

Musikalische Leitung:Axel Kober
Regie:Jan Philipp Gloger
Bühne:Christof Hetzer
Kostüm:Karin Jud
Licht:Urs Schönebaum
Video:Martin Eidenberger
Dramaturgie:Sophie Becker
Chorleitung:Eberhard Friedrich

Daland:Peter Rose
Senta:Ricarda Merbeth
Erik:Andreas Schager
Mary:Nadine Weissmann
Der Steuermann:Benjamin Bruns
Der Holländer:Thomas J. Mayer

2016.7.30


・・・・・・・・・

@ 音楽

今年はヤノフスキのリングに挟まれているせいか、
音のまとまりや、後期作品と比較した時の劇運びの緊張感が軽かったりするので、
印象は薄れ気味かもしれない。

仕事としては昨年同等か、緩急や描写の面でやや上向きか。
まだ全体の響きは粗めだけれど、ずっしりした厚みだけじゃなく、
時々高音に艶も感じるようになったし、
歌唱の前後や合いの手の形は例年通りほぼまとまっている。
音楽としては丁寧な方向に向かって、落ち着きが出てきたように思う。
今年も聞き所は序曲〜オランダ人のアリアの伴奏や、
1幕から2幕、2幕から3幕への間奏、各幕終盤の山場の作り方など。

あとは普通の劇場指揮からもう一歩踏み込んで、
楽曲に対する独自の表現を増やしたいところ。
どんな演出にも対応するとなると、結局無難な音楽に行きつくしかなくなってしまうので、
それとは別に曲自体への個の解釈みたいなものが伝わるようになれば。

A 歌手

オランダ人のT.J.Mayer…オランダ人の動機は多少詰まったが、
言葉やフレージングはまずまずの出来。ラストの名乗りも決めた。
ただ声が遠かったり、伴奏とのズレや二重唱・三重唱のバランスなど、
今年からの登場で演出になじむには時間がかかりそう。

ゼンタのMerbeth…例年通り出だしから最後まで不安定歌唱を貫いた。
まあ、バラードのアップダウンをこなせる歌手を探すのは難しいので、
声がイメージから大きく外れていないだけで妥協するしかないのかも。

ダーラントのRose…一瞬好人物に設定変えしたかと思えるようなソフトな印象だったが、
2-3の言い捨て演技からするに、やはり打算的な父親らしい。
前任のK.ユンがかなり腹黒だったので、これはこれで面白い。
歌はもう少しはっきりしても。

エリックのSchager…もういい、声量があるのはわかったから、
そんなに押しまくるのやめてくれる?という感じで声だけ飛び抜けている。
別の意味で振られキャラ。
個人的にはフレージングの方にも気を使って欲しいのだが。

舵取りのBrunsは最後の1フレーズまさかの落ちだったが、
もうこの規模の脇役にはもったいないかな。
マリーのWeissmannはC.Mayerから急遽代役。穴埋めで精一杯な様子だが仕方ない。
合唱は途中走ったりもしているが、ほぼこれまで通りの出来。

ラベル:バイロイト2016
posted by rikka at 22:16| ネットラジオ・バイロイト 2016 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする